小学生は本来遊びたい盛りです。机にかじりついて何時間も勉強すること、またそれを何ヶ月も続けさせることは非常に大変なことです。でも、興味のあることなら夢中になって何時間でもやることができます。その気になれば、絶大な集中力も発揮します。その気にさせる方法のひとつに、大好きな人からの一言が・・・
典型的な男の子タイプ、宿題は後回し
息子は小3の頃、3学年年上の姉が通っていた塾に自ら
「入りたい。」
と言い出しました。単に姉に負けたくないという気持ちからだと思いますが、ちゃんと勉強するというので入塾したものの、姉のようにコツコツと宿題をこなすタイプではありませんでした。
量的に大したことない宿題にも関わらず、いつも直前にどうにか間に合わせる始末でした。 まだ3年生ということあって塾の意味や受験の厳しさなど、理解できなくても無理もないことですが、それにしてもその場しのぎのいい加減な勉強をしていました。
当時の彼に理解できる言葉で、宿題は早めにやっておかないと溜まってしまうことや、予定していた空き時間は、なんだかんだとなくなってしまうことなど、何度も説明しましたがなかなかエンジンがかかりませんでした。本人もわかってはいるものの、私には彼を突き動かすだけの力はありませんでした。
大好きなサッカーコーチの一言
私はいろいろと考えた末、その頃、既に夢中だったサッカーのコーチに事情を説明し、息子のやる気スイッチを押すのに一役買ってもらうことにしました。 既に大学生だったコーチは中学受験の経験者でもありました。
コーチは、サッカーを一生懸命に教えてくれたのはもちろん、頑張った子にMVP表彰をしたり、手作りの世界地図出席シートを作り、練習に出席すると手作りの各国のプロチームのロゴシールを配布してくれるので、子ども達ははりきって練習に参加していました。
練習が終われば鬼ごっこの相手をしてくれたり、子ども達はもちろん母親たちも大好きなコーチでした。 ある日、そっと息子を呼んで
「いっぱい勉強して、サッカーが強くて勉強も一生懸命にする中学校に行けよ。」
といった類のことを言ってもらいました。何も知らない息子は、練習から帰宅するなり嬉しそうにコーチに言われたことを教えてくれました。
それから脇目もふらず勉強したかといえば、そう簡単に大人の思惑通り100点満点にことは進みませんでしたが、随分嬉しかったようで、いずれ胸をはって合格した学校を報告したいという思いが、最後まで彼の背中を押し続けてくれました。
思いがけない一言や出来事が力をくれることもある
私の知人の中に、親が行かせたいと思っていた学校の学園祭に子どもを連れて行ったところ、在校生が非常に優しくて、子どもが自ら
「ここの学校に入りたい。」
と言ってくれたという人がいました。
また別の知人は、本番の2月1日から4日まですべて落ちてしまい、ほぼ最終日の5日に無理だと思っていた学校を受けることになりました。試験会場に入る直前、いつも野球を教えてくれた友達のパパコーチが
「いいか、必ず合格を取って来い。」
と気迫いっぱいに送りだしてくれたそうです。前日までの結果はすべて不合格でしたが、その一言の甲斐あってか、最終の最後に合格をもぎ取りました。
子どもの大好きな人からの一言は、時として親よりも影響力があるように思います。ここぞという時に、一役かってもらうのも良い作戦だと思います。