6年生の秋、塾の主催する模試のため、当日さながらの準備をして子どもと共に会場に向かいました。子どもを送り届けて安堵しているところに思わぬ連絡が入りました。
試験問題の手配ミス
6年生の秋には、すべての受験生が塾が実施する模試を何回か受けることになります。同じ学校を目指す子たちがこぞって受けますから、自分の合格の可能性を知るいい機会です。模試は本番さながらの緊張感の中で受けるのでいい練習になります。
ある日、サピックス主催で渋谷幕張中学校サピックスオープンというテストが、実際の渋谷幕張中学校で実施されました。わが家は第一志望校ということもあって、何日も前から命運を占うような気持ちで準備をして早朝から出かけました。
子どもを学校に送り込み、保護者は講堂で行われる学校説明会に参加しました。段取りはサピックスの教育情報センター長のお話、次に渋谷幕張中学校の入試担当者から学校紹介というものでした。
ところが冒頭サピックスから
「大変な手違いがあり、テスト開始時間が1時間遅れます。」
という報告がありました。理由は用意した試験問題が渋谷幕張中学用に作られたものではなく他の学校用に作られたもので、至急取り寄せているというのです。
もちろんあってはならないミスですが、長い間にはそんなハプニングもあるかもしれないなあくらいに思っていました。子どもからも携帯に連絡が入り、テストが遅れる旨を教えてくれました。
「どんなに遅れても待っているから心配しないで受けておいで。」
と伝えました。一方保護者には予定通り教育情報センター長から、渋谷幕張中学の中学受験における立ち位置や最近の受験動向などの話がありました。話を終えてセンター長が舞台を下りようとした時、保護者の一人が
「テストの遅れはどうなっているですか? サピックスを信用してわざわざ来ているのにどういうことですか? ベラベラしゃべっていたけど遅延について説明すべきなのではないんですか?」
ととげとげしい口調で詰め寄りました。
もちろんサピックス側も、センター長の話の後に1時間遅れということ以外に、詳しいテストの段取りを説明すべく準備していたようでした。すぐに担当者はテストは1時間遅れて10時にスタートし、後のタイムスケジュールなど説明がありました。
ハプニングのための練習
次に渋谷幕張中学校の入試担当の先生が、学校紹介を始める前に
「今日はいい練習ができましたね。ハプニングはやろうと思ってもなかなかできるものではありません。入試当日もどんなハプニングがあるかわかりません。ハプニングに動揺して実力が発揮できないようなことがあるといけませんから、いい経験になったと思います。うちの学校でも何年か前に試験当日に大雪が降って、すぐそこにある歩道橋をわたるのに通常なら5分もかからないところを40分もかかったことがあるんですよ。やはり今日のように1時間遅れて試験を開始したことがあります。」
と話して下さいました。私はナイスフォローだと感動しました。
テストの後、大切な予定がある人もいたでしょうから、今回のようなミスがあってはいけませんが、それを責めたところでどうにもなりません。例えば、子どもの前でミスを批判したところで、子どもが何も学ぶことはないでしょう。
思いもよらないことは思いもよらない時に起こるのであって、そんな時に冷静に受け止め対応できるのが一番カッコいいねと子どもに教えてあげたいと思いました。
その後サピックスの試験責任者も駆けつけ、経緯の説明、謝罪などがありました。
入学後、ナイスフォローして下さった先生に、息子は授業を持って頂きました。授業を参観しましたが、穏やかな口調で生徒たちの一人一人の目を見ながら語りかけるように話している姿に温かいものを感じました。
以下の記事↓で実際にあった試験当日のハプニングをご紹介しています。ご覧ください。