遊びたい盛りの小学生が、中学校受験のために受験勉強に取り組む。子どもの将来のためとはいえ、時として親は無理強いしていないかと悩むことがあります。小学生にとって貴重な経験ですが、終わるまでには紆余曲折あります。息子の友達A君はお巡りさんのところに・・・
親子喧嘩
息子の友達A君、6年生になり本格的な受験準備が続いていたある日、忘れられない出来事が起こりました。
A君も3年生の2月から受験塾に通い始め中学受験の準備をしていました。ママは、
「なかなか勉強しないからイライラしてばかりだけど、怒ったところでどうにもならないので、本人に任せつつ叱咤激励しているわ。」
とのこと。どこの家でもよくある光景です。
受験までの時間も刻一刻と迫る6年生の秋のある日、エンジンをかけて欲しい親となかなかエンジンのかからないA君の些細な言い争いから、大喧嘩が始まってしまったそうです。日頃は勉強もよく見てくれて大きな声で怒鳴るようなこともない父親が、この日は珍しく
「やる気がないなら勉強なんかやらなくていい。出ていけ!! 」
と大声をあげたそうです。売り言葉に買い言葉で、A君も
「出ていけばいいんでしょ。」
と捨て台詞を吐いて出て行ったそうです。追いかけようとする母親に、父親は
「追うんじゃない。ほっておけ。」
といい重い空気が流れたそうです。もう既に外は真っ暗で夜になり冷え込んでいたので、母親としては心配でしたがひとまず父親の怒りを静めるべく従ったそうです。
いずれ1、2時間もすれば行くところもなく帰ってくることはわかってはいても、やはり顔を見るまでは落ち着かなかったそうです。母親は重い空気に耐えられなくて入浴したそうです。
後になってわかったことですが、母親が入浴中に息子は一度帰宅したものの呼び鈴を鳴らしても誰も開けてくれなかったので、そのまま行く宛もなく再び出て行ったそうです。
お巡りさんからの電話
彼女も風呂から上がり、まだかなと思っていた矢先に警察から電話があったそうです。
「〇〇交番ですが、息子さんが来ているので迎えに来てください。」
とのこと。行く先のないA君が交番に行って受験勉強が大変だということや、親にひどく怒られて家に入れてくれないことなどをお巡りさんに話したそうです。お巡りさんが一通り聞いてくれて家に電話をくれたそうです。
小学生は本来ならまだまだ走り回って遊びたい盛りの年頃。私自身の小学生時代を思い起こすと、ランドセルを放り投げて遊んでいたことを思い出します。こんなに勉強ばかり強いられた生活はしていませんでした。
田舎に住んでいたこともありますし、時代も違うかもしれませんが同じ12歳です。こんな風に中学受験をすることは、本当にいいことなのだろうかと考えさせられました。
しかし、その後、A君はラクビーをやりたくて選んだ第一志望校に合格しました。時には挫折しそうになった受験を乗り越え、楽しく中学校生活を楽しんでいるそうです。A君にとって中学受験は間違いなく人生において、貴重な経験になったと思います。