女子学院の大学受験指導で思うこと

中学受験で志望校を選ぶ時、自宅からの距離、教育方針、学費、施設、大学受験の合格実績などいんろな角度から調べると思います。中でも大学合格実績は、学校案内に記載されている数字から学校の貢献度を評価しがちです。どこの学校も公表している数字に嘘はないと思いますが、その数字が示す本当の姿を確認していますか?

女性のイラスト女子学院の大学受験への取り組み

大学合格実績だけで志望校を決めないにしても、学校説明会に行った時に、どんな風に大学受験への取り組みを行っているか、中学校に質問したことはありますか? 入学してから気がついたことですが、

学校案内に記載されている大学合格実績、必ずしも学校の取り組みの成果とは限りません。

思いおこせば、中学受験のために女子学院の学校説明会に幾度となく参加しましたが、一度も大学受験への取り組みについて学校側から説明はありませんでした。それなのに私は、学校案内に記載されている数字から、

学校の取り組みの成果だと、勝手に思い込んでいました。

しかし、入学後在籍している6年間に一度も模試を実施しないこと、夏休みなどの長期休みにまったく講習が組まれないことを知り、高1の保護者会で、担任教師に質問したことがあります。

私:「学校は大学受験に対して、どんな風に指導して下さるのですか?」

教師:「学校側から特別な指導はしませんが、何か相談されれば話を聞きます。例えば、弁護士になりたいけど、どうしたらよいかと聞かれれば、弁護士になった卒業生を紹介します。」

という回答でした。やはり大学受験対策は期待できないと思いました。

一般的に中高一貫校は、高校受験がないので前倒しで授業を進めます。中学高校6年分の学習を高2までにほぼ終え(学校によって多少の差はあるものの)、高3では大学受験対策に集中できるのが強みです。

しかし、残念ながら女子学院はそういった取り組みをしていません・・・

女子学院は、理系文系に分かれるのは高3から(一般的には高2から分かれる学校が多い)。娘は理系を選択しましたが、入試に必要な化学の範囲が終わったのは高3の12月でした。しかも最後は時間がなくなり、残りは教科書を読んでおいてくださいということでした。

女子学院では、高校3年生4月の修学旅行、7月の2泊3日で修養会(自分自身の軸を議論する会)、秋には遠足もありました。

「私たち女子学院は目先の大学受験ではなく、その後の人生を見据えた教育活動を行っています。」

と常に説明しているように、ほとんど大学受験対策はしてくれません。

しかし、”その後を人生を見据えた教育”は、具体的にどの取り組みのことを言っているのか、わからないまま卒業してしまいました。
もし、これを読んで下さっている方で女子学院の説明会に行って、目先の大学受験ではなく、その後の人生を見据えた教育活動を行っていると説明されたら、具体的にどんな活動をしているのか、是非、質問してみてください。

女性のイラスト公表されている大学進学実績の数字の意味

では何故、女子学院の大学合格実績が高いのか?

もともと教育熱心な家庭に育っている彼女たちの塾通いの賜物ではないかと思います。

中学3年くらいなると、親同士、どこの塾がいいの悪いのと話題がつきませんでした。昨今の大学受験のパターンは以下の3つです。

①全面的に学校が指導してくれる
②大手塾に所属し情報を得つつ、学校の講習や授業と併用する
③学校の指導が手薄なので、全面的に塾に頼る

女子学院は、まちがいなくパターン③です。
塾だけが頼りとなると、金銭的負担も大きいのはもちろん、学校から塾、塾から自宅への移動の時間も大変な損失です。

娘は、Meploという塾にお世話になり、現役で東大理Ⅰに合格しました。中学3年の冬から英語と数学に始まり、高校では化学や物理も加え、最後まで通いました。

毎月学校には6万円ほどの学費を支払い、塾には高2で3教科履修で月8万弱、高3で5教科履修で月16万弱の塾代が必要でした。それとは別に夏休みや冬休みの講習代もかかりました。

女子学院では、中高6年間一度も模試は行われません
女子学院では、中高6年間夏休みなどの長期休暇に一度も講習は組まれません
女子学院では、高2までに履修過程を終え、高3から受験対策に集中するやり方はしません

中学受験で志望校を選ぶ時には、体裁よく書かれている学校案内の記載だけを鵜呑みにせず、大学合格実績、部活動の実績など、学校がどう取り組んだ結果なのか、直接質問してみることをお薦めします。

これは女子学院に娘を通わせた一人の保護者の感想です。女子学院が熱心に大学受験の指導をしてくれたとは思いませんが、都心のど真ん中にあって立地がよく通いやすかったこと、毎朝の礼拝からたくさんのことを学んだこと、部活動の仲間やクラスメイト達と6年間を楽しく過ごし、貴重な高校生生活を送ることができたのも事実です。

わが家の経験が、志望校選択のひとつのヒントになれば幸いです。実は2016年4月に院長先生(校長先生のこと)が変わりました。何度か直接お話ししたことがありますが、とても熱心でフレンドリーな先生です。娘は研修先でフルスビーの相手をして頂いたこともあります。既に50代だと思いますが、若かりし頃サッカーをやっておられたそうで、娘がいうには

「犬のように走ってくれた。」

そうです。きっと一生懸命に相手をしてくださったのでしょう。娘が卒業したのは2017年3月。その後、学校も変わっているかもしれません。女子学院に興味がある方、是非、学校説明会で直接、疑問をぶつけてみてください。

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